良い人しか居ない王国

#ふぁぼかリプしたフォロワーさんを繋がる世界観で登場人物のように設定してみる のタグで作った設定紹介ページです。

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舞台はファンタジー。近年滅びた大帝国の傍にある王国の話。
現王は女王陛下。女しか生まれず、女王が長く続く現状と重い税に民の不満が多く、滅びる間近。

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仲原(@iamnkhr)

世界中を旅する流浪の剣士。相棒の頭の良い犬と共に、賞金首や魔物を狩って生きている。
人の良さから無茶な仕事を引き受けるだけ受けて、お礼をもらい損ねることも多々。
何やら過去にやらかしたことがあるらしく、一つの街にとどまれないのが旅をしている理由。

(今日も今日とてお仕事終了。貰ったばかりの金が詰まった袋を放っては受け止め、その重みを確かめる。
緩まる頬は隠しきれずもう一度、空高く袋を放り投げてしまえば――、どすん。袋が落ちたのは、バザールに並ぶ怪しげな店の、これまた怪しげな女が座る、怪しげなテーブルに。ぱくぱく、口を開いていたが、女は心底助かったような笑みを浮かべている。 

「よかった、これで晩御飯が食べられる…さあ、座ってください!占いをはじめます!」 

ぱくぱく。開いた口は、溜息混じりに閉じられた)

蘇木(@99n0)

城下町のバザールに店を持つ占い師。幼い頃から前見の力を持っており、その占いは当たると評判。
以前は帝国お抱えの占い師であったが、その帝国が滅びるという予言をした為に国を追放され、王国にひっそりと身を隠している。
10回中8回はわざと外しているので、店の人気はあまりない。

(この国の日暮れは早い。蝋燭を片付け水晶を仕舞い、手慣れた様子で店を畳み始める。
今日は何だか気前のいい客が来てくれたお陰で、夕飯には困りそうにない。 緩む顔を抑えながら金貨の袋を手に、さあ宿へ帰ろうと顔を上げると。――そこには一人の青年が。もう店仕舞いだよ、そう告げると青年は勢い良く顔を上げて 

「お願いします!明日、好きな子に告白するんです!!」 

ぱちり。目を瞬かせる。しょうがない、今日は機嫌がいいから――磨かれた水晶球の中、青年の未来を覗きこんだ)

眞下(@k1_msm) 

城下町で郵便屋をしている青年。生まれも育ちも城下町、な根っからの王国民。
最近、隣に住んでいる花屋の娘に恋をしており、毎日のように花を買っては町の人に配っている。
お陰で花言葉にも詳しくなった。時々、たまに、封が開いてる手紙をこっそり覗き見することも。

(今日はすこぶる機嫌がいい。何せ、”今日の告白は無事に成功する”と占い師に言われたばかりだから。
何時もは買ってばかりの花を、今日こそは彼女に贈るんだ。そう思い、真赤な薔薇を手に次の配達先へと向かおうと手紙を確認し―。
なんだこれは、封があいている。…どれどれ、少しだけ、中身を確認……してみると、どうやらラブレターらしい。
しかし手紙と共に付いているのは黄色い薔薇。こいつは花言葉の何たるかをわかっていない。首を振りながら溜息まじりに呟けば、そっと赤い薔薇へと差し替えて。

「…まあ、私に手紙?嬉しい、薔薇もついてるなんて!」

貴族のお嬢様は嬉しそうに笑う。良い事をすると気分が良い。さあ、最後の配達先は君が待つ花屋だ!)

四方堂(@3chiru0404)  

城下に住む貴族の娘。城に住まう王族の青年とひっそりこっそり恋愛中。
体が弱く、屋敷からはあまり出られない為、何時か外に出るのが夢。
メイドや執事が困っているとつい協力したくなり、あれやこれやと手助けしては執事長に叱られる毎日。女子力が高い。

(花瓶に飾る赤い薔薇を指先で突付けば、葉先に溜まる雫が零れ落ちる。何十分、何時間見ていても飽きたりしない。
愛おしくて大切な薔薇の花。白亜の椅子を揺らし、淡青のクッションを抱きしめて、ふわふわ。幸せ心地に包まれていると―。
静かな部屋にノックの音が響き渡る。おずおずと入ってくるのは若いメイド。どうしたのと尋ねると、漸く小さな口を開き、

「…お願いが、あるんです。お嬢様の、銀のクシを、貸してはいただけませんでしょうか!」 

その体からは想像もつかない、大きな声で頼まれた。
話を聞くと、どうやら一生に一度でいいから妹の髪をクシで梳いてあげたかったらしい。
そんなお願い容易いことよ、笑み混じりにクシを渡せば泣きそうな顔で礼を言う。いいの、そんなもの。だって私が嫁ぐ先には、何だってあるんだもの。

梅原(@_kozume) 

貴族の屋敷で働くメイド。城下町の貧民街で生まれ育つ。
現王の庶子であり、王の夫から命を狙われている為、姿を隠すように貧民街で生活している。病気の母と妹を養うべく毎日働きまわる。
城に住まう者の中には事情を知る味方も居て、時折家を訪れてくれる者も。

(指が通る、つややかな髪になった妹は今までにない程喜んでいた。
貧しい暮らしの為に小さなことでも喜べる、そんな妹が愛しくて、申し訳なくて仕方なかった。
重く鈍い音のする扉を開き、入ってくるのは王家直属騎士団長。何時もと違い、騎士服で現れたその姿を見れば、こんな遅くにどうしたの。と笑み混じりに出迎え。―途端、切羽詰まった顔で駆け込んでくる。 

「薔薇を、青くする方法を教えてくれ…」 

驚きで目を丸くしていれば、テーブルを叩き、言いにくそうな、詰まるような声が聞こえた。
一頻り悩んだあと、妹が取り出したのは町で配られていた古いチラシ。そこには、青い薔薇の絵。そうだ、この方法なら…真剣に悩む騎士へと、そっと耳打ちをした。

森下(@9intks) 

王直属の騎士団団長。部下を大切にしており、人柄も良く人に好かれる基質。
たまに王の話を聞かずに独断で動くことがある。
王子とは仲がよく、様々な無茶なことを共にしてきた。ちなみに王子の無茶ぶりを聞くのも騎士団長でる森下の役目。

 (何処までも続くように感じられる長い廊下の先に、その部屋はあった。
先程渡した青い薔薇…もとい、青い絵の具で塗られた白薔薇は王子の手に無事に渡った。
あれは思ったより上手く塗れたからバレることはない。だろう。多分)しかし青薔薇を手にした王子の顔は優れない。
暗く沈んだままのその表情に、どうしたんだ。と尋ねると―。 

「いや、なんでもない。まさか本当に青薔薇を見つけてくれるとは…、ありがとう、助かるよ」 

下がってくれと言う王子に、頭を下げる。どうしたんだろう。もう一度尋ねようと零れた言葉は、重い扉が閉まる音でかき消されてしまった―)

夏目(@indigoend) 

男として生まれ、育てられた男装の王子。上には姉が、下には妹しかおらず、王位を継承する為に母から男装を命じられている。
本当はお姫様らしくドレスとか着てみたい。現王が病気を患っていることを知っている数少ない人物の一人。

(不器用な青薔薇を手に向かう先は、大きな城から隠れるかのように作られた、深く暗い地下の屋敷であった。
誰も寄り付かないその場所に来た目的は、其処に住んでいる変わり者に会うためだった。
鍵のかかっていない扉を開き、それからまた地下へ続く隠し戸を開き、長い螺旋階段を降りていく。永遠に続くようなそんな感覚を覚えて―。

「やあ、持ってきたんだね。助かったよ。これがなければ薬は作れない」 

華奢な青年は静かに告げた。青薔薇を受け取る手を引き、顔を近づける。
信用してもいいんだな。その言葉に、彼は深く笑みを浮かべていた―)

奥田(@t_hr_o) 

王家に属する錬金術士。人嫌いな為、深い地の底で一人暮らしている。長寿の種族であり、この国に住まう誰よりも長生き。
現王の薬を作っているのも奥田。実は現王から、他殺に見られないやり方で殺してほしいと言われ、薬と言って弱い毒を長年渡し続けている。本当は王が好き。

 (青く染まった水が入った瓶は、王が眠る部屋のテーブルへと静かに置かれる。彼女は、もう長くはないだろう。
日に日に衰弱していくその姿を見て、嬉しくも切なくも思う。長く親しんだ友人の頼みを、漸く聞けるのだから。
小さな声が聞こえる。どうやら目が覚めたらしい、宙に伸びる手をそっと掴み―。

「―ずっと、ありがとう。こんな頼みを聞いてくれるんはあんただけやった。…最後にもう一つだけ、お願いがあるんや」 

か細い声は余韻を残すこと無く静かに消える。緩く頷きながら、言葉の続きを静かに待った―)

梁(@ryo_pontas) 

王国を治める女王陛下。幼い頃から王になるためだけに生きて、育ってきた人。
自分の為に生きることが出来ないこの世界と、王族制度が破綻しかけている現状に耐え切れず友人に殺してほしいと頼む。
緩やかに広がる毒のお陰で、余命あとわずか。

(思えば、私は自分の為に生きることが出来なかった。
私の目は民が働く姿を見るために、私の口は新たな政治を紡ぐために、私の血はいずれこの国に新たな王を産み落とすために。
しかし、最後ぐらいは自分の為に生きたかった。自分のわがままを、誰かに聞いてほしかった。

「あんたに、この国を譲ろうと思う」 

私の手を取る錬金術士の友人に呟く。驚きに満ちた友人は、少しの間も空けることなく首を振った。
しかし、でも、交わされる言葉は途切れること無く終わりも見えず続き―。



(結局、王族制度は一年後に滅びることとなった。

錬金術士が王子に、
王子が騎士団長に、
騎士団長が庶子に、
庶子が貴族令嬢に、
令嬢が郵便屋に、
郵便屋が占い師に、
そして占い師は流浪の剣士に。

国を継いでくれないかと相談しても、誰一人として首を縦に振らなかったからだ。
小さな親切、大きな見返り。しかし大きな見返りが全て良いことだとは限らない。この物語はそんな言葉の、小さく大きな例の一つ)
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