都市伝説の怪

#七不思議&都市伝説系で世界観を作りたい タグで作った設定紹介ページです。

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貴方のもとに、一通のチェーンメールが届く。
何時もの様に開いて、阿呆らしいと思って、消去する。
そんな普段通りの行動が、指先が、ふと止まる。
―なんだこの内容は。携帯を持つ手が、微かに震えた。

『ごめん!回ってきたから回すね!
なんでも、このメールに殺したい人の名前と、殺し方を書いたら本当になるらしいよ!
でも自分が回さなかったり、名前があったら…明日、気をつけてね。

白石→刺殺
眞下→バラバラにされて殺される
宗谷→惨殺
仲原→撲殺
松尾→引きちぎられて殺される
梁 →行方不明
鮫島→出血多量によるショック死
辻 →取り憑かれて殺される
七篠→呪われて殺される』

これは都市伝説の怪と呼ばれている、有名なチェーンメールだ。
阿呆らしい。矢張り、そう思ってメールを消去する。
―自分の名前が書かれたことが、少しだけ、心配だが。

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白石(@sksktamago)→「ベッドの下の男」
都内マンションにて一人暮らしをしている女子高校生。
都市伝説の怪にて悩む友人を心配し、友人からそのメールを転送してもらっていた。
8月1日に自宅で共に遊んでいた友人が帰宅した後、ベッドの下に潜り込んでいた七篠に殺された。


―では、次のニュースです。都内マンションにて、女性の死体が発見されました。死亡推定時刻は8月3日の午後9時頃。
出血多量によるショック死と判明しております。発見者は女性の友人であり、壁には謎のメッセージが残されていたということです―。



バタバタと音を立てて、友人は部屋から去っていく。
用事を思い出したという言葉は、急ぎのものだったらしい。片付けもそこそこなテーブルを見て小さくため息をついていた。
ガタ、――静かな部屋に小さく音が響く。
後ろを振り返っても、自分のベッドが置いてあるだけ。…家鳴りだろうか?
一人暮らしをしていたら、些細な音ぐらい平気になってしまう

「あとは寝るだけ~」

眠る準備を済ませ、ベッドに潜り込む。
ガタ…ガタ……、音は鳴り止まない。うるさいな。何だか、下から、聞こえてくるような気が、

『明かりを付けなくてよかったな』
壁に書かれた血文字を見た瞬間、女はその場に座り込んでしまった。
昨日忘れ物に気がついて、たまちゃんの家に戻って、眠っていたから忘れ物を取ってそっと家を出て―。
いつ、誰が、たまちゃんにこんなことを――。警察が囲むベッドの中、呆然と白石を見ていた。

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眞下(@k1_msm)→「きさらぎ駅」
都内に住む警察官。
此処最近若者の間で流行っている「都市伝説の怪」と呼ばれるチェンメについて捜査をしていたところ自身にもそのメールが届く。
仕事帰りの電車の中で、そのメールを開いていた所見知らぬ駅へと迷いこんでしまい、白石に殺された。


―では、次のニュースです。都内に住む警察官の男性が、電車に乗ったまま行方がわからなくなってから三日が経ち、警察は事故や事件に巻き込まれた可能性が高いと見て、付近での捜索を続けると共に、顔写真の公開を行い情報の提供を呼びかけています―。


辺りでは虫と蛙の泣き声が重く低く響きわたっていた。
誰も乗っていない電車が、俺を下ろして去っていったのは少し前のこと。
『きさらぎ駅』と書かれた看板を背に、電話からはりおちゃんから何処に居るのと心配そうな声が聞こえてくる。

此処は何処なんだ。

位置情報は取得できない、りおちゃん以外誰とも電話が繋がらない。
―遠くからは太鼓の音が聞こえてくる。錆びた線路沿いを歩く足が段々と重くなるのと比例して、太鼓の音は徐々に近づいてくる。

「―……ーい、おー……い―」

重くなる瞼が一瞬にして開いた。自分以外の、人間の声。随分と遠くから聞こえるようだが、誰か、他に人間が――!

「線路を歩いたりしたら、危ないよ?」

(銀色の髪に、眼鏡、体に突き刺さったままの包丁。小さな少女が、其処には立っていて―。

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宗谷(@SoyaAt)→「夜のサッカー部員」
都内私立高校の男子高校生。サッカー部員。
先日部活帰りに電車に乗り合わせた眞下を最後に見た人物。警察の事情聴取に、途中の駅で銀髪の少女と降りていた。と告げている。
部活が終わった後、同じくサッカー部員である友人から都市伝説の怪が転送されていた。部室の中でそれを見た後、外で生首を蹴っていた眞下に頭と体を切り離され殺された。


―では、次のニュースです。都内私立高校のグラウンドで、男子高校生の惨殺死体が発見されました。同校のサッカー部員だった少年の死亡推定時刻は8月2日夜、警察は事件の可能性が高いと見て捜査を続けています―。


手の中にある携帯画面には、流行りの長ったらしい文章が並んでいた。
誰がこんな馬鹿らしいことに乗るのだろう。消去しました、と表示されている文字を見て小さく溜息を零していた。

――…ポンッ、ポン……。

外からボールが跳ねる音が聞こえる。
自分以外は皆帰った筈なのに、こんな遅い時間まで残っていた奴が他にも居たのだろうか。
重く錆びたドアを開き、ちかちかと切れかけた電灯の下を通り、乾いたグラウンドへと足を踏み入れたら―そいつは居た。
部のユニフォームを着たそいつは、器用にリフティングを続けていた。
何処か、安堵してしまう自分がいる。緩く笑いながら、近づき、手を上げて。

「おい、誰だよこんな時間まで――」

トン、トンッ…。

声をかけると、ドリブルをしながら此方へとかけてくるそいつを見て、上げていた手が震え出すのがわかった。

首がない。

走る筈がない、蹴ることが出来る筈はない。だって、ボールだと思っていたものが、そいつの、生首なんだから。
自分の足には自信がある。勢い良く駆け出すと同時に、そいつも駆け出してきた。
足音が近づいていく。後ろは振り返れない。近づいて、近づいて――。

どさり、と音を立てて倒れこむ。
ボールのように転がるそれは、苦悶に満ちた、宗谷の頭だった―。

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仲原(@iamnkhr)→「メリーさん」
都内私立高校の男子高校生。宗谷が殺された後、宗谷からメールが転送される。
興味本位で都市伝説の怪を詳しく調べており、松尾と情報をSNSにて共有していた。
都市伝説の怪の被害者が、前の被害者に殺されているのではないかという情報を得た後撲殺される。


―では、次のニュースです。都内マンションで男子高校生が転落死しているのが発見されました。警察は事故と事件の両方の可能性があるとみています。8月3日、同マンションにて大きな音がしたとのことで隣の住民が―。


「なあ、俺だけど。今、角のコンビニの前」

携帯の向こうから聞こえてくる声は、たった数日前聞いたばかりなのに酷く懐かしく、そして悲しくなるものだった。
昨日、亡くなった筈の友人から電話がかかってきたのは1時間前のこと。
少しずつ、俺の家に近づいてきている。正直怖いよりも、嬉しい気持ちのほうが強かった。
少しずつ、少しずつ、コンビニから駅前、駅前から長い坂、長い坂からマンションの前。
もうすぐだ、もうすぐ俺の部屋にやってくる)

「なあ、俺だけど。今、扉の前」

(嬉しく逸る気持ちとは裏腹に、何故か自分の足は動かなかった。
この1時間、ずっと、テレビの前から立ち上がることすら出来ない。
手には携帯。そして送られてきたチェーンメール。仲原の文字。あいつの名前―。

「なあ、俺だけど。今、お前の後ろに、」

(振り返る先、何かを振り下ろす音だけが部屋に響いた―。

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松尾(@1m_100)→「カシマレイコ」
都内私立高校の男子高校生。従姉妹(白石)が都市伝説の怪の被害にあった後、仲原と共に都市伝説の怪について調べていた。
調べている途中、梁と出会い仲原が調べていたことと自分が持っていた情報を全て譲った日の夜に夢を見る。


―では、次のニュースです。都内私立高校の男子高校生が、また不審な死を遂げているのが発見されました。左足と右腕が切断されており、警察は事件性を考えて捜査を行うことが決まったそうです―。


何度も見る夢がある。

コンクリートの階段を登り、薄汚れた廊下を抜ける。
焦げ茶の真新しい扉を開くと、女性らしい花や人形で飾られた玄関が俺を迎え入れる。
一歩、また一歩。廊下を歩く度に、俺は赤い足跡を残していく。

――血だ。まだ新しい。

部屋に入る頃には、俺の足首まで浸かる血溜まりに浮いているかのように鎮座する大きなベッドには、―従姉妹の死体が寝かされている。
何度も刺された後が残るそれを見下ろし、俺は、助けられなかった――といつもの様に嘆く筈だった。
しかし、今日は違う。従姉妹ではなく…枕元に血の染みを作った、仲原が寝ていた。
薄っすらと開く目は俺の方を向いて、微笑むように細くなる。

「なあ、手を貸してくれないか?」

笑いながら青白い手を伸ばしてくる。
自分の顔から血の気が引いていくのを感じながら、一歩、また一歩と後ずさり、首を振る。
仲原は、そうか、と笑いながら立ち上がり、血をかき分けるように俺との距離を縮めていて。

「じゃあ、脚を、貸してくれないか―」

途端、何かに脚を掴まれる。
血の海から伸びてきた手は、俺の脚に絡みつき、底なし沼に嵌めるように引きずり込んでくる。
やめろ、やめてくれ。仲原へと伸びた手は、その手に掴まれ、同じように強く引かれた――。

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梁(@ryo_pontas) →「隙間女」
都内に住む女警察官。眞下とペアで組み、連続不審死と都市伝説の怪を追っていたがペアの眞下が死んだことで一旦捜査は中断。一人で事件を追っていた。
メールが来る前日に松尾から話を聞いており、送ってもらった情報を夜に確認していた所だった。


―では、次のニュースです。女性警察官が行方不明となって数日経ちますが、新たな情報が出てきました。自宅のクローゼットの中から、血塗れのストールが発見されたそうです。現在、行方はまだわかっておらず―。


学生の頃は、仕事を家に持ち帰らない人間になると決めていた。
目の前に置かれたノートパソコンとビールの缶を眺めて、深い溜息を付く。
そんな夢を打ち砕かれたのは警察官になってすぐ。今日も今日とて、残っている仕事を終わらせている最中だった。

話を聞いた高校生が殺された。足を引きちぎられた姿で。

カチリ。クリックしたらパソコンに現場写真が表示され、肩が震えた。見慣れているとはいえ、こんな時間に表示されるのはやめて欲しい。
うつろな目と目が合い、胸がざわつく。そっと消したパソコンは写真だけではなく、暗く、重く電源すら落ちていき。

「――っ、!」

黒い画面に現れた目と視線が合う。勢い良く後ろを振り返っても、誰もいない。
おかしい。それでも視線を感じる。振り返る度に、その視線は強くなっていく気が―。
ふと、クローゼットと壁の間に暗い影ができていることに気づく。
あそこには何もない筈。立ち上がり、息を呑み、壁に手をつく。
ひんやりとしたその感触と同時に、隙間をそっと覗きこむと――。

「気付いたんだ」

其処には、昨日話を聞いた…死んだ筈の高校生が座っていた。
叫び声を上げる間もなく、狭い隙間の中、真っ白な手が伸びてくる。
私の体はその狭く暗い隙間に引きずられ、

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鮫島(@drot_0)→「赤いマント青いマント」
ホラーや都市伝説といったものを題材としている雑誌の記者。以前都市伝説の怪を受け取っていたが、別の友人に転送している。
転送した日から心霊現象に悩まされ、仕事帰りに誰かにつけられている気がしていた。


―では、次のニュースです。昨夜未明、女性が血塗れで倒れているという通報が有りました。警察が駆けつけた際には既に亡くなっており、警察は通り魔による犯行ではないかとして捜査を行っております。


この角を曲がったら、足音が一つ増える。
私のヒールの音と、もう一つ、同じようなヒールの音。
立ち止まれば同じく音が消え、歩き出すとまた鳴り出す。
私を追ってくる足音は、何時も私を捕まえそうな程近づいてきて、――すっと消える。
今日もその筈だった。電灯の下を通ると、いつも通り、消える筈が――。

「――…ねえ」

電灯の下、ストールを巻いた女が私に呼びかける。
風に吹かれて揺れるそれは、明かりを浴びているから色が見え辛い。
声に驚き、立ち止まると同時に私を追う足音も消えた。
何も言わずに立ち止まっていたら、ねえ。ともう一度声をかけられる。

「あんたは、赤いストールと青いストール、どっちが好き?」

はあ?という顔を、私は今しているのだろう。
そんな私に構わず、女は何度も何度も何度もおなじ質問を繰り返してくる。
気持ち悪い。怖い。夜の道で、気持ちの悪い質問を繰り返す女。これは関わってはいけない人種だ。

「…貴方には、赤いストールが…似合ってると思うわ」

口から漏れた声は、思っていた以上にか細いものだった。
それじゃあ、と応えを聞かずに横を通り過ぎようと足を動かした瞬間。

ぐさり、と鈍い音が響く。

腕を滴り落ちる鮮血は、あっという間に足元を埋め尽くしていった。
振り返る先には、赤く、血走った目が間近にあり、――私の背中を勢い良く刺している手元が、目の端に見えた。

ざく、ざく、響く音は絶えることなく続いていく。滴り落ちる血は、何時しか私の体を真っ赤に染めて―。

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辻(@tsujiRio) →「こっくりさん」
都内私立高校の女子高校生。眞下の最後の電話の相手であり、「都市伝説の怪」と「きさらぎ駅」という言葉を頼りに都市伝説とチェンメの繋がりに気づく。
こっくりさんになら行方が知れない眞下の事がわかるかもしれない、という記者の言葉を頼りに一人でこっくりさんを行い、死んだ筈の鮫島に取り憑かれる。


―では、次のニュースです、都内で続く謎の不審死や行方不明者は、日々増えており、共通点があることから何か関連性があるのではないかと関係者より囁かれています。


こっくりさんこっくりさん、おいでください。

こっくりさんこっくりさん、おいでください。

誰も動かしていないのに、錆びた10円玉は少しずつ動き始める。
歪な鳥居の周りをぐるぐると周りはじめたら、こっくりさんが現れた合図。
一人きりの教室は、ちかちかと蛍光灯が消えたりついたりを繰り返している。

―貴方が、信じるというのなら。こっくりさんでなら、恋人のことが聞けるかもしれないわね―

先日会った女性は、確かにこう言っていた。
正直こっくりさんなんて信じていなかったが、今は藁にも縋りたい気持ちでいっぱいで。

「こっくりさんは、桂ちゃんの、居場所が、わかりますか」

恐る恐る尋ねた声は、きっと震えていた。
ゆっくりと動き出す10円玉は、「はい」と確かに指していた。
どこに。無事なのか。きさらぎ駅って。
一瞬の間に色々なことが頭に浮かび、過っていく。
閉ざされた口が開き、桂ちゃんは―!?と呟いた瞬間。室内は暗闇に満ちた。
切れかかっていた蛍光灯が、とうとう消えてしまったらしい。
反射的に指を硬貨から離し、立ち上がる。電気を探しに、壁伝いに歩いていた際にふと思いだす。

―こっくりさんをしている最中は、10円玉から指を離してはいけません―

ぺた、ぺた。冷たい壁を触る。冷や汗が、頬を伝う。
ふに。と冷たく硬い壁が、突然柔らかくなった。目が泳ぎ、ゆっくりと壁の方へと振り向けば―

『大丈夫、こっちに居るわ』

柔らかく冷たい手が、私の手を握る。
いつの間にか開け放たれていた扉の外には、血塗れの女が立っていて――。

ちかちかと、明かりがつく頃には少女は其処に座っていた。
うつろな目と、青白い顔。手には携帯。うつろな目は何時しか、碧色に染まっていた―。

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七篠(@nnsn774)→「チェーンメール」
都市伝説の怪と言われているチェーンメールを作った男。
暇つぶしにチェンメや都市伝説を自作しては、それが広まる様子を見て楽しむのが趣味。
最後は自分で作った筈のチェンメに自分が殺されてしまう。


―では、次のニュースです。「都市伝説の怪」といったチェーンメールが、若者達の間で流行しているそうです。そのメールには、殺したい人物を殺したい方法を書いて転送する、といった悪質な内容になっており―。


チェーンメールなんて、創りだすのは誰だってできる。
まずは人が見てくれるような一文から始まり、後は適当に人の心理をついて、勝手に広まっていくような内容を考えるだけ。

「友達の友達から聞いた話」「回さないと何かが起こる」「メールの内容が本当になるかも」

大体この三つのうちのどれかを入れてさえおけば、十人に一人は確実にメールを転送してくれる。
チェンメなんかに願いを叶えてくれるような力もなければ、そいつを殺す力なんてある筈がない。
今日も一通、俺が作ったチェンメが俺の元に回ってきた。
この瞬間が一番嬉しく、作り甲斐がある。どれぐらい名前が追加されただろうか、にやつく頬を抑えながらメールを開き)

「――なんだよ、これ」

『七篠→絞殺』

書かれている文字を見て、血の気が引いていくのがわかる。
俺の名前だろうか。一瞬にして腹立たしさがこみ上げてきて、転送せずに消去ボタンを押してしまう。
どうせ俺が転送しなくても、他の誰かが転送して広めてくれる。
そう思っていたのだが。何度も、何度も何度もメール音が聞こえる。

『七篠→絞殺
 七篠→刺殺
 七篠→転落死
 七篠→行方不明…』

一通一通、開く度に俺の殺され方が増えていく。
やめろ、誰がこんな冗談を、誰が―――。

――鏡にそいつは映っていた。
金髪の女が、俺の真後ろで、俺の首に手を添えている姿が。

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―ねえ、知ってる?友達の友達から聞いたんだけどさ、都市伝説の怪っていうチェンメがあるらしいよ。

―知ってる!チェンメに殺したい人と殺し方を書いたら、本当になるんでしょ?

―そうそう、それで友達の友達がね、殺されちゃったらしくて――。

―それ、もう古い!今は新しいチェンメが流行ってて―――、
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